「東京タワー水族館」閉館の危機で、「未知」とのつながりがなくなる危機!

皆が知っていることに労力を使うのは、単調な社会を作ること

「ねぇねぇ、こうちゃん。カルタしようよ」
「やだ」
「パズルしようよ」
「やだ」

3歳半ともなると、親が学ばせたいものと子どもの興味があるものに食い違いが出てきます。母親としては、せっかく買ったカルタで47都道府県を覚えてほしい。けれど、息子はカルタ遊びがそんなに好きではない。

「あーあ、残念」
息子には申し訳ないけど、勝手にため息をついて残念そうな顔を見せてしまうこともあります。

一方で、息子は大の動物・魚・昆虫好き。まだ、ひらがなの「さ」と「き」の区別もついていませんが、ケープペンギンとキングペンギンカクレクマノミとハナクマノミの違いははっきりと区別し、どちらの名前も覚えています。

ハナクマノミの方が黒いよ。ケープペンギンは、首のところに黒い線があるよ

そうした、息子の「好き」に直面するたびに、私はある理想の母親像が浮かびます。

それは、さかなクンのお母さん。

学校の勉強について先生から指摘されても、息子を机に向かわせようとはしなかった。むしろ、水族館や魚屋に連れて行ったり、毎日タコ料理を振舞っていたそうです。

さかなクンのお母さんは言います。

あの子は魚と絵が好きだから、それでいいんです。

成績が優秀な子もそうでない子もいていい。みんな一緒ならロボットになっちゃいます

ウンウン、本当にそうです。

我が子をお腹に身ごもった時から、そう思っていました。

「この子は、ロボットのように使われる人間にしたくない。健やかに笑顔で過ごして欲しい」って。

ところが、いつしか忘れてしまうんですよね。「みんながそうだから」「大勢の人がそうだから」と、能力も格好も同じようにしてしまう。

みんなが知っている情報こそ、価値のあるものだと思ってしまう。

だからこそ、子供が小さいうちからこぞって、ひらがなやアルファベットを教えるのだと思います。

人間が確認していないことにこそ、価値がある

で、またまたさかなクンのお話ですが、
絶滅したとされる「クニマス」を発見したことでも一目置かれています。

このニュースを聞いて、あ、なるほど。

「絶滅」というのは、生存している生態がゼロになるのではなく、ただ人間が把握しないこと、人間の視界に外れた生態のことを言うんだな、と思いました。

もしかしたら、人間の目を盗んでひっそり生きている絶滅種がいるかもしれない。いつしか変装してして、ただただ人間にバレていない絶滅種がいるかもしれない。

そう言う意味では、数の多いメダカや鮭を知っていることを「価値=役に立つ」とするのはおかしい。むしろ、大半の人が「知ることを諦めている知識」のほうが価値があるんじゃないかと。

多様であることは、生物の宝

一方で、国立科学博物館の細矢剛さんが、
「多様であることは、生物の宝だ」
と言っていました。

多様であるからこそ、違いを認識できる。多様であるからこそ、世の中にある情報が果てしないことを知る。

そうした点で、息子が虫や魚、動物に興味が出てきたのは、願ってもないチャンスだと思っています。
それらは、人間が生まれるよりもずっと前から生きていく術を持った生命体です。そして、人間が勝手に体系化して名付けたものですが、これからの世の中で必要なのは、まさに根本的な本質を考える力だったり、膨大な情報を体系化して伝える力だと思うので、私たち夫婦は、図鑑を片手に、ルンルンと息子の後について動物や虫たちを観察しているのです。

東京タワー水族館に教わった「未知」の世界

では、どこで「多様性」に触れるか。

息子にとっては、上野動物園だったり、東京タワー水族館が「学校」だったりします。東京タワー水族館は、なんと900種も展示しているんですね。上野動物園が350種、サンシャイン水族館が750種ですから、飛び抜けて多いわけです。

そして、私たちが住むエリアにあるので、散歩のついでや保育園の帰りにも立ち寄ることができます。多い時には、週に3回も通いました。

(ある日は、オープンの1時間前からスタンバイ……)

 

そうした積み重ねの結果、3歳半の息子が

ミドリフグは、蚊の幼虫のボウフラを食べるんだ。グレーの鯉は『そうぎょ』って言うんだよ。

と教えてくれるようになりました。

この東京タワー水族館は、お世辞にも「近代的」とは言えませんが、その分、スタッフの方が丁寧に「えさ」を見せてくれたり、生態の違いを教えてくれます。息子も、いつも会うお兄さんが大好きで、いつも「餌は何をあげるんですか」と質問するようになりました。

さて、役に立つか、立たないかを今の時点で判断するのは、とても危ない。
「きっと、子供の役に立たないから」と情報を封印してしまっては、その情報は子供にとって「絶滅」したも同じ。知識の連鎖が、どこかでブチっと途絶えることになる。

もちろん、世の中の全ての情報をインプットすることはできません。人間ですから。
ですが、「未知のもの」「異質なもの」が存在することを知っていることが、何より大事なのだと思います。

そうして、自分の持っている情報がまだまだ足りなくて、この先いっぱい知りたいんだ!……そんな好奇心をどんどん育てて生きたいと思うのです。

東京タワー水族館の魚たちを知識として保存したい

そうした矢先、東京タワー水族館が閉館すると言うニュースが飛び込んできました。私たちにとっては、大切な図鑑をなくすのと同じこと。未知なるものとの接点を失ってしまうことが、本当に残念でありません。

東京タワー水族館のどんなところが好きかって……。

オオグソクムシの脱皮した皮とサメ、金魚がなんの優劣もなく飾られているレイアウトとか。

この「キモ可愛い」という主観的な表現!

話がそれましたが。

きっと、生態にとっても、スタッフの方にも再就職先はあるとは思うのですが、いずれ離れ離れになる情報をどうにか保存したい。

そんな思いで、このブログに一覧を作りました(現在は構築中のため、トップページの新着情報からご覧ください。数日中に目次を作成します)。
※写真は、パパ撮影のものとフリーのものを掲載しています。

どうか、またどこか近くでミドリフグに会えますように。そして、東京タワー水族館が営業しているうちに、「未知という存在」を教えてくれた、大切な先生たちに会いに行こうと思います。

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