musuko32

保守対革新

結婚式は前述のように、静江おばあちゃんの方針通りに柏崎であげた。
東京では、みんなの会の人達が中心になって、結婚パーティーを開いて下さった。
こんどは父さん側の友人知人が中心になって実行された。
父さん側は、みんなの会を中心に、日ごろ何かと協力して下さっている、中年初老の人が多く、元区長さん八十三歳を筆頭に、老人ホームの園長さん、民生委員さん、区議会議員さん、町内会の役員さん達で、どちらかといえば、保守系の人が多く、祝辞もオカタくエライ人ばっかり。
片や、母ちゃんの方のお客さんは、はなやいだ雰囲気の三鷹保育園の若い保母さん、女子大時代の友達、民青活動家の同志で、フォークソングやジーパンが似合う青年達がぞろぞろ、どちらかといえば革新的な思想を持った青年達ばかり。
パーティーの実行委員をしている誰かがいった。
「まさに保革対決パーティだな」
そしてマイクは、黒の礼服を着た、おじさまの方ばかりをまわり、青年達にまわる機会がすくないまま、三時間のパーティーは終った。
その時、母ちゃんは、妊娠五ヶ月で大きなお腹をしてた。
「きっとお母さんに似て丈夫な赤ちゃんでしょう」
と生まれて来るきみにまでお祝いの言葉を下さった。
結婚パーティー。五十年十月。品川産業文化センター四階大広間出席者百五十名。

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