出産前はパパもホームシック
あのね、こうちゃん。
ママの入院で、はじめてパパとママは離れ離れに暮らしたよ。うちは自営業だからいつも一緒。はじめて長い間、別々に過ごしたから、病院がうちから近いとはいえ、なんだかすっごく遠くにきちゃったみたい。
お互いがお互いのことばかり考えてた。
そんなある日、パパは、江(こう)ちゃんの命が宿ったことを亡くなったおじいちゃんに報告にいったんだ。おじいちゃんは、タケちゃんにあてた「息子たちに」を自費出版したから、私たちもこうちゃんにあてて、できごとや思いを記録してるんだよ。
「手を合わせにきたよ」
「江が無事に生まれるように」
「執筆終了報告」
あ、そうそう。
タケちゃんの食事は心配だったな。同じものばかり食べちゃうからね。
ちなみに、「浜松屋」っていうのは、芝商店街にある定食屋さんのこと。
仕事で忙しかったときは、ここで夕飯を食べてたんだ。
病院だから夜は電話できないので、悔しがったり。
ともあれ、また一緒に、そしてこうちゃんも暮らせるようになって本当によかった。LINEのやりとりが減ったことがちょっと寂しいかな。