5歳息子がLaQ(ラキュー)で動物を100体以上制作し、おうち博物館「こうくんいきものかん」を作った話〜プロジェクト始動編〜

5歳児がLaQ(ラキュー)で動物を100体以上制作した話

年末あたりから、私にはひとつの「憂い」があります。

それは、息子が作った「こうくんいきものかん」という恐竜と動物レプリカの山。正確にいうと、LaQ(ラキュー)という小型のパーツを組み合わせて作った作品たち。息子は、大好きな恐竜や昆虫を100体以上制作しました。

(100体以上の恐竜や昆虫たち)

ご覧の通り、リビングの半分が覆われています。もはや、足の踏み場はありません。食事テーブルも、部屋の隅に追いやられています。ただでさえ1DKに4人住まいという暮らしなのに……。

よーく見ると、牛乳パックとかトイレットペーパーの芯とか丸めたティッシュも紛れているのですが、これも何か表現したものらしく(順に、滑り台、おうち、海の波)、ぶつかって倒すもんなら、怒られる始末なのです。

そもそも、息子は半年前、4歳の春ころからLaQ作りに目覚め、平面での作成を経て、立体、30パーツから数百パーツまで、より難易度をあげてスキルを磨いてきました。図鑑や、世界文化社や小学館から出ている説明書を見ながら、1パーツの狂いもなく正確に組み立てています。

そうした情熱を受けて、その夏、パパはリビングの3方に棚を作りました。LaQを陳列するためです。

(パパ自作のLaQ棚)

ですが、せっかく、棚を作ったのに、こちらに置いていては見えないと床に移動させ、恐竜は恐竜の、昆虫は昆虫の「世界」を作っちゃった!

まだ、下の妹が寝返りする程度なので問題ないのですが、そのうちハイハイしたり、パーツを飲み込んだりしたら大変! 母親としては、ごめんだけど、「煩わしいもの」なんです……。

「好き」を人と共有したい!

一方、息子にとっては、手塩にかけた、まるで生き物そのもの。

(自然を表現するため、落ち葉を制作)

年末に、ホタルの夜を表現した黒い紙がたわんだだけで、大泣きしてしまった。で、いつまでも泣くもんだから、パパが破いて捨てちゃったのだけど、そしたらもう手が付けられない。ママは呆れて外に出たのだけど、50m先でもまだ泣き声が聞こえる。きっと、近所の人は虐待が起きていると心配されたことでしょう。

今振り返ると、大変なことをしたのだけど、そこから、パパとママは、「これは、息子にとって宝物なんだ」と思いなおすようになりました。私が作った料理を床にこぼされたら、そりゃ激怒することでしょう。書きかけの原稿をデリートされたら、起き上がることさえできません……。

そうした矢先、息子が、「みんなに見せたい!」と。

画用紙とペンを取り出し、おぼつかない様子でひらがなを書き始めました。

「こうくんいきものかん」
初めて、「こ」と「う」以外のひらがなを書きました!

「みんなに、虫と恐竜を好きになってもらいたい」

その思いが高じて、生まれて初めて家の掃除もしました。

動機はこれ。

自分が好きなものを人にも好きになってもらいたい。

そのために、「お金は取らない」と決めました。子供はお金を持っていないからです。

そこで、外階段の2階にある我が家の玄関に張り紙をしました。

……が、こんな感じ。

当然のことながら、わざわざ外階段の先にある家を見上げる人はいません。年末年始を過ぎてもなお、ドアをノックしてくれる人はおらず、1日、1日と過ぎて行きました。

親としては、申し訳ないけど、こんな子どもの作った作品を見せるために、わざわざ声をかけて、しかもけっして広くない自宅に招いて見させるなんて、裸体を見せるくらいの恥ずかしさに近く、「ねえ、お客さんこないね」と言いながら、心の中で早く片付けたいとばかり願っていました。

 

5歳のマーケティングがはじまった!

そんなある日、息子が、外に行って、「お客さんが来るか見てみよう」と言いました。
外から家を見上げてみます。案の定、看板に書いている字は見えません。通りすがりの人をじっと観察して見ると、スマホをいじっていたり、前や足元を見ているので、全く気付きません。

私も、息子の建前上、「ねえ、お客さんこないね」と残念がり、心の中では「あー、早くブームおわんないかな」と願っていました。

そんななか、たまたま近所で餅つき大会があり、息子の友達とばったり会いました。するとこうが堰を切ったように、「ねえ、うちにきて!」と営業をかけ始めたのです。

お友達とそのお母さんを招き入れると、息子は図鑑を引っ張り出しながら、LaQのレプリカを指差し説明し始めたのです。
「これはコオイムシで気性が荒いんだ」
「パキケファロサウルスは、石頭でオス同士が戦うんだ。勝ったほうがメスと結婚できる」

息子の顔は、満面の笑みであふれていました。

そうした時、そのお母さんが、来場者を増やすアイデアを出してくれました。
「お友達に招待状あげたら?」
「グーグル先生にも教えてあげようよ」

母親の私は、どきっとしました。
息子が、私の凝り固まった「人に見せられない」という思い込みやちっちゃな恥ずかしさに風穴を開けてくれたのです。

その夜、私たち夫婦は、膝を突き合わせて話しました。
「もう、バカになって応援しようよ」
「招待券作ってさ」
「いっそのこと、LaQムックの編集者や殿堂入りの方にもDMしようか」

このなんてことない息子の「ハマり」は、数年経ったら単なる「ちっちゃい時の遊び」に過ぎないことかもしれません。でも、それを「煩わしい」とか「散らかって困る」という思い出にするか、「自信にみなぎるきっかけ」とするかは、親次第なのだなと深く反省し、息子が無我夢中になっている横顔を見つめるのでした。

というわけで、久々にグーグル先生に教えるために、ブログにアップしました。もし、東京都港区近辺で、一緒にLaQをしようという方、「こうくんいきものかん」に行ってもいいよ、という方がいましたら、ぜひメッセージください!(aco@koreshiba.comまたはLINE educort)

そして、このLaQプロジェクトには、まだまだ後日談があるのでした……。続く。

廣升敦子(アコ)のプロフィール

▶︎詳しくはこちら

日本語教師、我が子観察家、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。

 

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