「おしりたんてい」は、3〜5歳の語彙力・表現を増やす! #24 幼児と外国人・帰国子女の日本語教育ラボ
「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師であるアコが、日々の学習・実践した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。# 24 語彙編
息子と前のめりでどハマり
最近の息子のハマりごとは、「ぬりえ」に続き、「えかきうた」と「模写」です。ぬりえで色を塗ったり、縁取りをなぞることで、今度はオリジナルで絵を描いてみたくなったようです。とはいえ、何か参考になるものは必要そうなので、絵描き歌の本を真似してみたり、好きなキャラクターを見ながら絵を量産しています。
で、最近、息子が圧倒的に好きなキャラクターがこれ!
「おしりたんてい」
保育園で「おしり」やら「うんち」ブームがやってきたのが最初。で、どこで見かけたんだろう? 最初は確か、本屋で一冊購入したのがきっかけだと思います。そうして、いまや、大型本と単行本を全てコンプリート!
「おしりたんてい」には子どもの語彙力・表現を増やす可能性がある
その魅力は、こちらのレビュー「4歳の息子も外国人・帰国子女の子供もどハマりの理由」にも書きましたが……。
とにかく、起きてから寝るまでしゃべりっぱなしの息子が、おしりたんていを読んでいる間は、唯一、黙々しててくれます。それは、キャラクターやストーリーの面白さかもしれませんし、クイズや「おしり探し」、迷路など、能動的に読める内容が随所に盛り込まれている点かなと思います。何より、親も前のめりに読んでしまうので、子供も楽しめるのかもしれません。
ちなみに、息子だけでなく、レッスンを受けてくださっている外国人や帰国子女の子どもたちにも読み聞かせをしたところ、皆が皆、ハマってくれました。それは、1週間前に読んだ内容を覚えていて、私に教えてくれるほど! 圧倒的なインパクトがあるのかもしれません。
そして、私自身も、この「おしりたんてい」には子どもの語彙力・表現を増やす可能性を超絶感じています!
もちろん、絵本の読み聞かせは、古くからさまざまな効果が伝えられていますが、それまでの絵本とは少し毛色が異なるのです。
なぜなら、おしりたんていには、馴れ合いの友達がいないから!
これがどういうことかというと……。
さまざまな関係性の登場人物に「敬語」を使う
主人公・おしりたんていを取り巻くキャラクターたちは、全て、一定の距離感を持っています。おしりたんていに事件解決を依頼するワンコロ警察署のマルチーズ所長だったり、事務所の下で喫茶店を営むマスターやすずさんはもちろん、相棒のブラウンや父親さえにも敬語を使っています。
だから、
「行くね」ではなく、
「伺います」なのです。
「返して」ではなく
「お返しいただきます」なのです。
文章を省略せず、改まった表現で会話
そして、人間関係が「疎」なので、文章を省略しません。改まった言い方をします。
敵にさえも、
「おならプー」ではなく、
「失礼こかせていただきます」なのです。
「男の人」や「男の子」ではなく、
「男性」なのです。
そして、
日本語特有の語彙表現が圧倒的に多い
一人称が豊富
登場人物が多いので、「私」「ぼく」「あたくし」「吾輩」「おれ」「じぶん」などの使い分けが出てきます(おしりたんてい:大型本より)。
日時や時間の言い方が豊富
例えば、2日(ふつか)、5日(いつか)、9日(ここのか)といった言い方が物語に出てくる(やみよにきえるきょじん:単行本)のですが、この羅列を見たときに、私は舌を巻いて感服してしまいました。
オノマトペが豊富
そして、シーンがどんどん展開しながら、登場人物同士が絡み合うので、「バキバキ」「ビショビショ」「ぐちゃぐちゃ」などのオノマトペも多いのが特徴です。
いやー、読めば読むほど、日本語について工夫されているなと感心します。息子の保育園では、おしりたんていごっこが流行っている模様。大いに、「うんち」「おしり」を楽しんでほしいです!
そんな感じです!
廣升敦子(アコ)のプロフィール
日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。
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