帝王切開手術後 お腹をとじて、命がつながって……感謝!
あのね、こうちゃん。
前置胎盤(ぜんちたいばん)に伴う帝王切開(ていおうせっかい)の手術当日、8時に手術室に入り30分後にこうちゃんが「ギャー」と産声をあげました。
助産師さんが抱きかかえ、お腹が開きっぱなし(私からは見えてないけど)のママのもとへ顔を見せてくれました。それは、真っ白で小さくて、ふわふわしていい香りがしたよ。
なんとか、助産師さんがシャッターを押すカメラに向かって笑顔をつくったけど、かなりひきつってた。
「おめでとうございます」
とこちらに笑顔を向けた執刀医の顔は血まみれで、その笑顔もすぐにやんでしまったから……。こうちゃんに続いて、胎盤を子宮から外に出す必要があったからね。
そうして、こうちゃんは、タケちゃんとみっこママ、私の両親が待つ廊下をとおって新生児室へ。このとき、タケちゃんに「こうちゃんは15分くらいで産まれるらしいよ」と言ってたので、予想以上に時間が経っていることにみんなでヒヤヒヤしていたんだって。そして、タケちゃんだけ新生児室に入ることが許されたので、何枚も写真を撮って、あとで私に見せてくれた。
ワイワイとこうちゃん旋風が吹き荒れる一方、私はというと……。麻酔が途中で切れ始め、鈍痛と吐き気に襲われ、枕元にいる麻酔科医に「吐くー、吐きます」と消えそうな声で訴えてた。そうして、追加の麻酔を入れてもらい、お腹をとじた頃は、もう12時をまわっていました。
「終わりましたよ」
結局、おへその上まで15cm切ったけど、母子とも命がつながってよかった。そのまま担架で、もとのベッドへ。助産師さん2人がかりで体を移動させてくれました。
その日、ママは意識がぶっとんで、寒気と痛みでぐったり。痛み止めを注入して、睡眠薬を処方してもらい……。タケちゃんが病室に顔を出したことも、記憶があやふやでした。
こうちゃんは、というと……。ミルクを元気よく飲んでいた、とあとから助産師さんに聞いてほっとしました。