稽留流産を経て、手術の記録

時をさかのぼってのご報告になりますが、少しの間、こうちゃんの弟か妹をお腹に授かることができました。

妊娠9週で心拍が停止

不妊治療でもなかなか授からなかった私たち。突然の妊娠に、本当に驚きました。7週目で心拍が確認できてほっとしたり、こうちゃんのときにはなかった「つわり」や卒乳に悩んだり、「またマタニティライフがはじまるのね」と美容院にいったり、出産時のこうちゃんの保育をどうしようか考えたり、仕事をクローズしたり……。心身ともに、出産に向けての準備は万端でした。

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……が、喜びもつかの間、3ヶ月を目前にした9週目の経過観察で、赤ちゃんの心拍が確認できなくなりました。つわりが止まったり、しょっぱいものを食べたいという気持ちが急になくなったり……。私本人は、まったく異変に気づきませんでしたが、今ふりかえると、体のほうは変化をきちんと受け入れていたんですね。

そうして、1週間後に改めて心拍の停止を確認しました。医師によると、初期流産は「6人に1人の割合」で起こるということ。そして、なにか原因があったわけではなく、もともとの受精卵の遺伝子が生き抜くに耐える力を持ち合わせていなかったということでした。

自然流産という方法もありますが、急に出血を起こし母体に影響がでる可能性もあるので、3週間後に繋留手術(子宮内容除去手術)をすることに。赤ちゃんを外に出してあげるという決断をしました。

2泊3日の繋留手術

手術は、2泊3日。タケちゃんが朝晩、こうちゃんの面倒を見ることになりました。こうちゃんの好きなお菓子やおもちゃを見えるところに置いておき、3日間のメニューや備忘録を冷蔵庫に貼り、バトンタッチ。

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お風呂入れたら、クリーム塗ってあげてねぇ。

入院初日 子宮を広げる施術

9:00 この日に限って、こうちゃんが起きない。おむつを替えて無理やり体勢を変えて起こす。むにゃむにゃ。ご飯も食べずに、「遊ぼう」というと外にでていく。たまたまパトカーに出会い、満足そう。保育園に送り届けたあと、タクシーに乗り込む。

10:00 入院手続きをする。6人部屋の真ん中のベッド。病院のベッドに座ると、病気でもないのに、眠い。売店で飲み物とT字帯を購入する。書棚にあった、「親を惑わす専門家の言葉」を読む。おやつの与えすぎはよくないなー。もっとこうちゃんと向き合って話をしなければ。結局、テレビを撤去したけど、意味なかったなー。などと思いを巡らす。16時にお風呂を予約。

12:00  久々の病院食。管理入院のときに、ずいぶん、食べたなぁ。

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12:30  道路をはさんだ向かいのスタバへ。たったひとつの道をはさんだだけなのに、「寝るもの」と「動くもの」、「食べられない」もの、「空腹」のものが共存している。カフェラテを飲み、「下界」から病院を見上げる。

13:00 麻酔科による説明を受ける。今回の手術は全身麻酔。これは、出血防止のため。いざ、輸血が必要になったときなどに備えて全身麻酔にするのだそう。

14:10 手術室の看護師が来て、手術の流れを説明。血圧は、上が99、体温37.1℃。体がほてり、売店にアイスを買いにいく。この日は、自由に病院内を動き回ることができる。

16:00 シャワー。そろそろ、17時。タケちゃん、無事にこうちゃんを迎えにいく。

18:00 夕食。21時から絶食なので、パンを買いにいく。

18:45 子宮を広げる。赤ちゃんは1.4センチ、子宮は6センチ。内診台に座り、膣を金属で広げ、細い棒を子宮までいれる。ツーンとした痛みのあと、下痢の前のような鈍痛。脂汗がでて、前かがみにならないと歩けなくなる。同意書にサインし、部屋まで医師に付き添ってもらう。ベッドに倒れ込む。血圧は上が117、体温35.7℃。痛みにもがくも、15分で落ち着く。

19:30たけちゃんからメール。カレーを全部食べたとのこと。安心。

20:00  絶食に備え、アンパンを食べる。このとき、タケちゃんとこうちゃんは、「ママを探しに」、と芝公園へお散歩。

21:00 経口保水液を受け取る。0:00から水分も摂れないが、経口保水液だけは飲むことができる。

23:00  寝られず、なんどもスマホみる。頭が痛い。何度もトイレに起きる。トイレにいくたびに、「この子」のことを思うのだが、まったくイメージもわかず、もちろん名前もない。いつしか忘れてしまうのではないかという申し訳なさだけを思い、ベッドに戻る。

入院2日目 子宮内容除去手術

6:00 経口保水液を飲みほす。頭が痛い。トイレへ。少し出血がある。血圧は上が99、下が58。体温36.6℃、脈67。

9:00 手術着に着替え、T字帯をはく。

9:30 手術室へ。酸素マスクをあててもらい、左の手の甲に点滴の針をさす。点滴が落ち始めたと聞いた直後、もはや記憶がない。「終わりました」の声で起きる。病棟のベッドに移動させてもらう。産婦人科2人、麻酔科2人、看護師3人に対応いただいた。

11:50目が覚める。麻酔の副作用はなく、すっきりとした感じ。37.4℃。右足がつる。腕には、点滴が継続。

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12:30 パジャマに着替える。生理3日目くらいの出血があるが、痛みはない。たけにメールを送る。

13:00 昼食はでないということだったので、あらかじめ買っていたパンを食べ、抗生物質を飲む。新聞を読む。

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14:00 たけちゃん、スタバのキャラメルフラペチーノをお土産に。きょうは、こうちゃんと品川水族館にいくそう。昨夜は、2時に泣いたらしい。ただ、「泣くのが当たり前だよね」。たけちゃんも、頼もしくなったなぁ。そして、私も「子育て」や家族のことを俯瞰できるようになったな。「チーム」になってきた!

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14:30 トイレへ。看護師が付き添い。生理3日目くらいの出血。

14:40  36.9℃。血圧は上が114、下が 69。

17:40 売店でフルーツパウンドを買う。
18:00 夕飯が足りず、茄子炒めのつゆをご飯にかけて食べる。隣のベッドの人は、水すら飲めないらしい……というのが、看護師との会話でわかる。代わりに食べてあげたい。健康も食事も、病院の世界に「分配」はないんだなと思う。

19:00 内診。多少、組織や血は残っているが、経過良好とのこと。

9:00  少しお腹がいたい。痛み止めをもらおうか。痛みを経験するか。悩んでいると、痛みがなくなる。胸をさするが、もはや張ってない。

1:00 たけちゃんからのメールが23時でとだえる。もう寝たのかと、そわそわ。生理痛のような痛みがある。トイレにいき、「この子」のことを思う。この子はどこに行ったのか。だれかがおがんでくれたのか。

入院3日目 退院

5:30 起床 血圧は上が88、下が 69。体温36.2℃。

6:00 タケちゃん、起床とのメール。

7:00  コーヒーを飲む。もう、お腹に誰もいない。食べるものも、飲むものも、自由だ。

8:00  排便。お腹がへこんだ気がする。

10:00  帰宅。こうちゃん、ママを見るなり、おっぱいをせがむ。ごはんまみれのこうちゃんを、ぎゅーっと抱きしめる。

退院後の経過 1週間は安静に

手術後は、子宮が開いていたり、感染しやすいので、なるべく安静にとのこと。入浴禁止(シャワーのみ)、抗生物質を服用しました。とくに、痛みはなく、生理終わりかけくらいの出血が少しつづきました。そうして、1週間後には、診察へ。経過も良好で、2ヶ月ちょっとの妊娠生活は、こうして終わりました。近々、増上寺にお花をたむけにいこうと思います。

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