いざ出陣! 手術台へ
あのね、こうちゃん。
出産の朝は、シャキッと目覚め、すでに6時から近くのスタバで待機していたたけちゃんとメールでやりとり。8時には、たけちゃんと両親がベッドサイドまで来てくれた。
私は、紙でできたパンツをはき、手術用のガウンをはおり、頭にはビニール製のキャップ。ビデオカメラを持ったタケちゃんに手を振りながら、看護師さんのアテンドのもと病室のある3階から手術室の1階へ。
手術室前には、20人くらいの患者が列をなしていて、名前を呼ばれた人から個別に手術室へ入っていく。そして私も……。
麻酔科医の指示に従ってあがった手術台は、肩幅程度の狭さ。まずは、手の甲に点滴をうち、海老反りになると背中の脊髄に局所麻酔を。この麻酔針は、イヤホンのコードくらいの太さで、刺すときに違和感はあったけれど、覚悟していたほどは痛くなかった。そのあと、麻酔科医がお腹を触っていき、感覚がないのを確かめると、尿道に管を挿入。この尿管も感覚はなかったよ。それと、足には血栓防止のポンプを装着。そのほかにも心電図をとったり、脈をとったりする線があちこちに……。
やがて、執刀医となる産婦人科の医師や小児科の医師も到着。胸のあたりにはカーテンがかけられたので、自分の胴体を見ることはできなかったけど、ときどき医者が顔をだして話しかけてくるので、我を忘れずにすんだよ。
とはいえ、実際はこんなに落ち着いていなく、なかなかこうちゃんの泣き声が聞こえなかったので、「何かあったのか」と不安になりました。ぐいっとお腹がひっぱられる感覚はあるのだけど、何をされているのかわからない。ただただ、ここにいる医者を信頼して身を任せました。
そうして30分くらい経ったころ、
「ぐあー」
こうちゃんの泣き声がようやく聞こえた。つーっと涙があふれてとまらなかった。