自律学習とは、仲間と武器を手にいれるロールプレイングゲームだ #17幼児と外国人の日本語教育ラボ

「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師の卵であるアコが、日々の学習した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。# 17 中上級の教室活動_自律学習

3歳半、自律学習のステージに

息子「ねぇねぇ、いちごは売っていますか」
店員「売ってないねぇ。もう夏だからね」
息子「そっかー、今、イチゴの季節じゃないんだね」

(とはいえ、たまたま夏に見つけたイチゴ。嬉しそう。当然のことながら、外国産ですっぱい)

さて。

小さい頃は、とてもシャイだった息子。
2歳半のブログをみると、人見知りや言葉にできないもどかしさもあったようです

ところが、3歳半のいまでは、初対面の人にも
「○○はいますか?」
「なんていうんですか?」。
と質問できるようになりました。

花に水をやるおじさんに、
「この花の名前、なんていうんですか?」
小学校の警備員のおじさんに、
「この亀のお名前、なんていうんですか!?」
ママに、
「虫が蜘蛛の巣につかまったところ、YouTubeで見たい」

それを聞いた瞬間、
私は飛び跳ねるほど嬉しかった!

「キター!」

教えられる一方ではない、いわゆる「自律学習」のステージに進んだのです。

さて、この亀の名前はなんでしょう?

去年の私達なら、「亀さんだね」で終わっていました。

ですが、今の息子、一歩を踏み出しました。
「ねぇねぇ、この亀の名前、なんていうんですか」

小学校の警備員さん
「あ、なんて言ったかなぁ。ステ…えっと。なんか、外国の名前だったな。明日またきて。聞いておくから」
翌日、その警備員さんは、小学校の子供に亀の名前を聞いて息子に伝えてくれました。

お名前は、スティーブンとステファニー。そして、種類は「アカミミガメ」とのこと。

「質問したら、わかった」

息子は、ひしひしとわかる喜びを積み重ねているようです。

そうして、親としては、
その感激を知ってもらえた!という喜びを感じ。

好奇心にエンジンがかかっている、
と嬉しくてたまらないんです。

「逆引き」可能な時代、「聞く力」が知識を増やす

さて、私は「アラフォー」。

そして子供の頃は「いなか暮らし」。

だから幼少期は、「調べる」のに限りがありました。

猫を飼うために、「猫の飼い方」みたいな本を書店に探しに行ったけど、当然のことながら在庫はなし。入荷までに1ヶ月近く待ったことを覚えています。

だからこそ、身の回りにある本や親に頼る以外、知識を得る方法はほとんどありませんでした。かといって、近所の大人や先生に聞こうという発想もなく、わからないことはわからないこととして封印。いつしか、わからなかったことすら忘れ、自分で勝手に、「わかりそう」「わからなそう」という線引きをしちゃっていました。

ところが、今の世の中、3歳の息子でもiPadの音声検索でロボットに「質問」ができます。SNSや知恵袋などを利用すれば、面識のない人にも、広く聞くことができます。

というのも。先日は、この花の名前がわからず、「なんだろう?」と写真だけ撮っていたのですが……。

そのうち、息子が「ねぇ、お写真に撮った黄色いお花、何ていうの? 調べて!」というので、私がSNSにアップしたところ……。

知り合いの女性が、
「それ、びょうやなぎです」
と教えてくれ、

早速、息子に
「びょうやなぎ、だって」
伝えることができました。

そのうち、公園からは黄色いお花が散ってなくなり、息子の記憶に、「びょうやなぎは、春のお花」とインプットすることができました。

断片的な情報が何かを言語化するために、大人ができるたった一つのこと

こんなふうに、以前は名前を知っているという前提でのみ、その内容を知ることができましたが、いまは一部の情報から全体像や名前を調べることが可能です。

辞書でいうと、漢字の読み方がわからなくても、「部首」や「画数」が分かればその漢字にたどり着けるのと一緒。

いわゆる逆引き

そのためには、手がかりとなる情報を言語化できるかどうかが重要です。

「あれ、何?」
だけでは、親もサポートしようがない。

けれど、
「公園に、黄色いお花が咲いてて。お名前がわからないの。調べて」
と聞いてくれれば、一緒に探せそうな気がする。

「そういえば、この前、区の人が植えてたな。
今度、区の人に聞いてみよう」
と情報を掴むルートが見えてくる。

言い換えると、
子供がわずかな語彙でも情報を言語化しようとする。
親が、その情報から調べる方法(方向性)を伝えることができる。

親子の「言語」の歩み寄りがあってこそ、子供の聞く力は身についてくるのだろうと思います。

(これ、なあに? なんで、セミが外に出たの?)

そのために、親は何をしたら良いか。
できることはたった一つ。

「ヒマを作ること」
なのだろうと思います。

親が忙しそうで、構う余裕がなければ、子供は親に期待しなくなります。

親が忙しくて
「どうでもいいよ。オハナ、オハナ」と
済ませてしまうと、子供は質問するのを
「どうでもいいこと」と思ってしまいます。

こんなことを書くと、
「アコさんはサラリーマンじゃないから」
「職場も家も近いから」
と言われますが、

それは、たった10分でもいいんです。
子供が見ている世界を一緒に見る。

これからロールプレイングを続ける子供の仲間となり、どこに防具や武器があるか、どの人から情報を得られそうか、一緒に歩いてみる。

すると、勇者の経験値はどんどん上がっていき、次のステージに進むことができるはずです。

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廣升敦子(アコ)のプロフィール

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日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。

 

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