「人が怖い」のは、日本語が乏しいからです #08 日本語ラボ
「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師の卵であるアコが、日々の学習した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。 # 08番外編
「ダメ」と言われてトイレに閉じこもっていた
「ほんっとにダメだよね!」
20代の頃の私は、プライドがもーのすごく高く、そして、ハートがもーのすごく脆かった。小さな犬が、必死になってキャンキャンと吠えるように……。なので、仕事で上司や顧客に指摘されるようなことがあれば、一溜まりもない。
「あーほんとにダメなんだな」
「私、価値あるんだろうか」
トイレに閉じこもっては、頭を抱えることもありました。
もちろん、「ダメ」とか「アホ」とか乱暴に片付けようとする方が悪い。
度がすぎるとパワハラになりますからね。
でも、でも、でも……。
いまになって、思うのです。
相手が話す「日本語」をちゃんと聞けていなかったな、と。
もしも、私がタイムマシンに乗って、当時の立場になったら、
きっと、落ち込まないでしょう。
それは、面の皮が厚くなったということだけでなく、
人の話、本意を少しは聞けるようになったからです。
「自分がダメ」と思うのは、ボキャブラリが足りないから
つまり、当時の私は、
「出来が悪い」
と言われれば、
ぜーんぶ「ダメ=能力がない」と解釈してた。
これは、ボキャブラリの量が極端に少ないからではないかと思うのです。
例えば、上司が自分の資料を見て、
資料の手を抜いている。
ホチキス止めがずれてる。
てにをはが間違っている。
表の集計が間違っている。
言葉が曖昧
説明が不足している……
という指摘をする前に、
「出来が悪い」
と言ったら。
そもそもぜーんぶ「ダメ」と思っていた。
当時の私は、ゼロか100か。
白か黒か。
勝つか負けるか。
すごいか、ダメか。
それしか、軸がなかった。
けれど、「ダメ」の本意がなんだろうと考えて……。
上司「出来が悪い」
私「どこをみてそう思いましたか」
上司「ここ。読み手の立場になってない」
私「具体的にはどういうことですか」
上司「前提となる情報が省略されてて、初めて読む人が全くわからない」
私「あ、そうですね。最初に、状況を説明します」
上司「うん、よろしくね」
相手の言葉をもっと引き出すよう質問できていたら
なんてことなく、解決できたわけです。
ボキャブラリが少ないとコントロールされてしまう
この世の中、
コントロールする人とされる人に二分されます。
20代の私は、当然のことながら、コントロールされる側。
もちろん、まだ経験が浅く、雇われる立場なので当然です。
ですが、仕事のプレーヤーとしてのコントロールだけでなく、
脳みそまでもぽぽぽいっとコントロールされてしまっていました。
それは、
「Aがいい、Bが悪い」と言われれば、
「ああ、そうか。Aがいい、Bが悪いんだな」と思い、
「Xが正しい」
と言われれば、
「ああ、そうか。Xが正しいんだな」と思う。
これは、私の思考力が足りなかったり、
コミュニケーションの幅が少なかったのもありますが、
要は、それ以外の言葉を持ち合わせていなかったので、
「それは、違うこと」「私はこう思う」
とじっくり自分に問い、言語化する習慣がなかったのです。
つまり、日本語とは、
考える上での判断基準となる
情報や知識を表面化し、
相手と共有するもの。
だから、日本語が乏しければ、
日本語をより多く持つ人に
コントロールされてしまうわけです。
言葉と自分は、しっかり切り離そう
本来、言葉とは、自分の中に固定されているように感じていましたが、実は取り出したり捨てたりしまったりと自由がきくものです。
上司が「出来が悪い」と言ったとします。
けれど、自分が「出来が悪い」という言葉が嫌いであれば、使わなければいい。
自分のライブラリに入れなければいい。
その場合は、
「『出来が悪い』を他の言葉に置き換えてみてください」
と提案できる。
だからこそ、自分のライブラリは、常に充実させ、いい言葉で埋めておかなければならない。そうでないと、言葉巧みな乱暴者に支配されてしまうのです。
というわけで。
私は、日本語をうまく喋れなかったコンプレックスも含めて、私自身の残りの人生を豊かな日本語で満たしたい。そして、息子には精神的にコントロールされることのないよう、人に戸惑うことのないよう、精神的に自立した人生を送ってほしい。
だからこそ、そのライブラリに豊かな日本語を詰め込んであげたい。
そのためにも「あ・い・う・え・お」は自然に触れることで十分覚えますから、私は「栄枯盛衰」「温故知新」を繰り返し詰め込んでいるのです。
そして、もし若い頃の自分に声をかけることができたなら……。
いまでも時々弱気になる自分に対しても。
こうカツを入れたいと思います。
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廣升敦子(アコ)のプロフィール
日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。
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