3歳の息子にひらがな「あいうえお」を積極的に教えない理由 #11 幼児と外国人の日本語教育ラボ
「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師の卵であるアコが、日々の学習した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。 # 11 初級の教室活動&歴史と文字表記編
間違い探しをしてみよう!
間違い探しー。
この中に、1つだけ違う単語があります。
どーれだ?
見つけましたか。
正解は、
「白」ですね。
では、これは?
韓国語の「日」にあたる単語(일)の中に、一つだけ「目」があります。
正解は、二列目の一番左(눈)ですね。
これは?
アラビア語の「日」にあたる単語「 أيام」の中に、一つだけ「目」があります。
正解は、二列目の一番右「عيون」ですね(アラビア文字は、右から左へと書きます)。
ここまでくると、もはや絵画です。私も、正直どこからどこまでが単語の区切りかすらわかりません。google検索をそのままコピペしています。
では、もし、韓国に旅行中のあなたの前に
韓国語を母語とする人が現れて、
「アコさん、まずはハングルを全部覚えてください」。
と言われてハングル表をダァァア〜っと見せられたら……。
(「かじりたてのハングル」さんよりお借りしました)
オーマイガっ!!
「まずは『こんにちは』と言えて
焼肉食べてエステしたいんじゃい!」
と、私なら思います。
幼児と外国人への日本語教育は、読み書きよりも、聞く話すを優先する
これって、未就学児の子供も
日本に住む外国語を母語とする外国人も一緒。
まずは、「聞こえる」、「話せる」を増やす。
学習者である前に、
生活者ですから、
読み書きよりも、
聞く話すを優先する。
だから、
「し」+「ろ」→「しろ」→「白」→「雪や牛乳の色」
という順番じゃなくて、
「牛乳や雪の色は同じだ」→これを「Shiro」というんだね。
という方が、日常で即使える。
ちなみに、外国人向けの日本語教科書は、
「即、使える」が第一優先。
そんな意図がかなり反映されています。
日本に来て、最初の授業で、
「アメリカから来ました。どうぞ、よろしく」
「ワンさんは、銀行員ですか」
「ABC社の社員です」
というフレーズを覚えて、
即、自己紹介ができるようになっています。
(引用「みんなの日本語」スリーエーネットワーク)
参考までに、2回目は、
「408のサントスです」
「あのう、これ、コーヒーです」
もう、隣の人にコーヒーを持って行き、挨拶までできちゃうのです。
そして、初級のレッスンでは
いきなり「ひらがな」を使いません。
絵や動作と音を紐づけて使えるようにしています。
この教え方が本当に有効だと思うので、
私も、まだまだ息子に積極的に「文字としてのあいうえお」は教えていません。
ひらがな「あいうえお」よりも「動詞・形容詞・副詞の語彙を増やす」を優先する
我が家は、ひらがなより先に
四字熟語を教えていますが、
これは、早期教育や学校教育の前倒しではなく、
語彙を増やし、そして音を聞き分ける基礎を作っているに過ぎません。
だから、まだ息子は「あ」と「お」と「め」の区別もあやふやですが、
ダンゴムシを見て、
「これは、オスだね」
「これは、メスだね」
と区別することができる。
そして、
「曖昧模糊(あいまいもこ)」
「温故知新(おんこちしん)」
は、聞き分ける。
なぜ、五十音表の「あ」は「あり」なのか、「ぬ」は「ぬいぐるみ」なのか
一方、世の中に溢れる幼児教材や幼児雑誌を見ると、
日本人の日本語を教える発想のベースには、
いつも五十音表があるのだな、と。
その上で、子供っぽさを要求する……。
だって、あいうえお表の「ぬ」は、
どれをとっても「ぬいぐるみ」ばかり!
(こんなんばっかり……)
クマの絵が描いてあると、
クマの「く」に間違えてしまうじゃないか、と。
文字に子供っぽい絵を当てはめる「苦し紛れ感」が半端ない!
それなら、「濡れる」とか「ぬめぬめ」の方が、日常で使える気がします。
どうしても、より多くの子供に向けて、
一般化した言葉を選ぼうとするから、
平易でビジュアル化しやすいイラストを
使わざるを得ないというのは致し方ないですよね。
同じように、保育園の先生や友達との会話でさんざん、
「あり」「アメ」「あか」と聞かされます。
やがて、
小学校に入れば、ほとんどの子供が
「あり」の「あ」と覚えてかけるようになるわけです。
けれど、大人数に向けての教育の中で、
「あ」と書けても当たり前。
学校では、特別扱いされません。
だからこそ、それなら!
家庭では、動詞や熟語のバラエティ、イラストにできない概念や気持ちを形容詞や副詞に置き換えて、どんどん増やすことが有効なのではないか、と。
それなら、たった一人の子供のために
自由に言葉を選ぶことができる!
日本語の進化は、音→漢字→平仮名(ひらがな)の順
さて、日本語の歴史をざっくりと辿ると……。
そもそも、音が先に生まれ、4〜5世紀に朝鮮半島から伝来した漢字を当てはめ使うようになりました。そのうち、平安時代になって、漢字の「速記」としてひらがなが生まれています。
(男性が使っていた漢字を女性でも使えるようにくずして書いていったのが、その始まりで、源氏物語や枕草子はひらがなで書かれています。詳しくは、日経ビジネス「平仮名はこうして生まれた」を参照ください)
そう考えると、人が言葉を習得するプロセスも、
その音の共通点にある「a」という音が
すなわち「あ」なんだと解釈していく方が
自然なんじゃないかな、と思います。
「ありがとうの『あ』」
「歩くの『あ』」
「甘いの『あ』」
「愛してるの『あ』」
「あっち、あれ、あそこの『あ』」
「曖昧模糊の『あ』」
その時、あいうえお表がなくても、
裏紙に「あ」と書けばいい。
スマホの文字を見せればいい。
だからこそ、文字については、急がない、急がない。
いずれ、書けますから。
それよりも、息子が学生になった時、外国人の友人に、
あのね、史記っていう歴史書があってね。元々は司馬遷が書いたんだけど、横山光輝さんの漫画だと読みやすいから、読んでみてよ。アメリカの歴史書は、何がオススメ?
そう話せるような、知識の豊かな子になってほしいからです。
だからこそ、
急いでまわろうと思うのです。
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廣升敦子(アコ)のプロフィール
日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。
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