幼児の「誤用」は、積極的な言語獲得! #25 幼児と外国人・帰国子女の日本語教育ラボ
「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師であるアコが、日々の学習・実践した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。# 25 言語学編
「ジャンプ、すれる?」の誤用が続いています
ねえ、ママ、ジャンプ、すれる?
『すれる』じゃなくて、『で・き・る』だよ、『で・き・る』!
ペラペラしゃべる4歳半の息子ですが、なぜか「できる」を「すれる」と言い続けています。どんなに訂正しても、です。
本当にこれは不思議で、
たとえば、
ママ「自分で着替えられる?」
息子「うん、お着替えできたよ」
ママ「次は、ママが歯磨くね」
息子「自分で歯磨きできるよ」
と、「できる」も「できた」もわかるし、使うこともできるんですが、時々「すれる」が勃発するんです。
「すれる」は、発達の遅れか成長か?!
この「すれる」という言葉。
私も夫も、当然のことながら保育園の先生も使いません。
どこでどう覚えたのか。
しかも、しつこく直らない。
なんでだろう?
と思った時に、
たまたま「新・子どもたちの言語獲得」を読みました。
レビューでも書きましたが、母語の獲得には、「経験」と「生得」があり、教えて覚えるだけでなく、子ども自身がルールを見つけて体系化していくのだと。
つまり、息子は「可能形=られる」を自分で見つけたということです。
だから、「できる」もわかるけど、「達成した」「可能だ」を強調したい時に「すれる」を使うのではないかと思いました。そうしてみてみると、日頃からやっていることは「できる」、チャレンジしてできたという喜びを表す時に「すれる」を使っているのではないか……。私が観察した限りで、本人に確認していませんが、おそらくそういう「ルール」が息子の中に構築されたんだと思います。
本にも書かれていますが、言語獲得はのプロセスには、教えてもらう受動的な学びだけでなく、自分でルール化していく能動性もあると言います。
つまり、息子の「すれる」という誤用は発達の証なのだと、気づくことができました。
禁止の「入れないで」か使役の「入らせないで」か
ちなみに、砂遊びをしていた時のことです。
お友達が砂に水を入れようとしていたところ、
「入らせないで!」と息子。
普通なら、「お水を入れないで」というべきところを使役形にしている。
これは、
「あなたが、そうさせないで!」と強調したためかなと思います。
息子の中では、何を相手に強調したいかによって、独自に築いたルールを当てはめているんですね。親としてはもどかしい部分もありますが、日本語教師としては、面白い記録です!
そんな感じです!
廣升敦子(アコ)のプロフィール
日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。
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