「幼稚園か保育園か」問題に固執すると、親が化石化する #18幼児と外国人の日本語教育ラボ
「日本語ラボ」シリーズは、日本語教師の卵であるアコが、日々の学習した内容を振り返りながら、まとめています。日本語の学習者にも、読み物としてもお読みいただけるシリーズとして育てていきます。# 18 番外編
「幼稚園か保育園か」迷いまくって軸ブレ起こしてた
「幼稚園と保育園、どっちが良いの」
「X保育園とY保育園、どっちがいい?」
「都心と地方で育てるなら」
子育てをしていると、いくつかの選択に迫られる場面があります。幼少期の環境や人間関係がその後の人生に影響を与えるのは、いうまでもありません。ですから、ものすごく、ものすごく迷います。
私が子供の頃は、通える範囲に保育園がひとつ、小学校がひとつ、習い事もピアノかそろばんくらいしかありませんでした。だから、みんなが一緒。放課後は小学校の校庭か誰かの家しか遊ぶ場所がなかったから、「選択肢」は皆無でした。
けれど、幸か不幸か、東京の、しかもいまの情報社会では、選びたい放題。それは、調べきれないくらいに! だから「気にしぃ」の私は、よく軸ブレを起こします。
あるママから「A幼稚園っていいのよ」と聞けば、あー、息子の保育園よりもいいかもと心がざわざわする。
他のママから「B塾で習い事させてるの」と聞けば、息子にも習わせた方がいいのかしらと心がざわざわする。
すると、いま、息子がいる環境の「ないもの」に目がいく。「ないもの」がどんどん不安を呼び込んでいく。「あっちがいい」「こっちがいい」と隣の芝が青く見える。……そうした「どんぐりの背比べ」を繰り返していきます。
うーん、こんな状況、良くないよね。
と思っていた中、少し休息をとったり、全く別の環境で子育てしている方にお会いする機会が立て続けにおきました。すると、私の中の「迷い分子」たちは、スルスルっと……。過去へ消えていきました。
え?
「過去」?
当たり前のことですが、その時はじめて、改めて時間は経過するものだということに気づきました。
生涯、影響を与える人間関係は、いまのコミュニティだけではない
そうした中、たまたま、地方在住のママとお会いする機会に恵まれました。聞くところによると、その地域には、塾や保育園の選択肢があまりない。だからといって、遠くに通わせるのもどうかと。いまのつながりの中で、学力も含めて、子供を育てていきたい。
私からすると、その地域には「森のようちえん」があったり、ママたちがすごくモチベーションが高く、社会経験が豊か。そんな環境で育った子どもたちは、とても表情や語彙が豊富でうらやましい。
そう思っていたので、お互いに、
「結局、全部が満足する環境ってないのねぇ」
と納得。
そりゃ、そうですよね。
水槽の中で飼われているわけではないので、それぞれ考え方や価値観が変わってくる。だからこそ、「いろんな人がいる」社会になる。
OMG!
息子には、豊かな人間関係や価値観の中で、独自の意見や価値をもってほしいと願っていたのに。
私ったら、真逆の方向を向いているではないか!
そう思っていたところに、お会いしたママから。
「子供同士が将来、どこにいても連絡が取り合えるようになるといいですね。様々な場所で生きる人がいると知る大人が増えますね」
ほんと、その通りだと思います。
子どもの世界は、保育園か幼稚園かだけじゃない。
そして、
息子たちが築くコミュニティは、将来「○○2丁目」には収まらない。
先何十年と息子の将来は続くとわかっていながら、「いま」の中で選ぼうとするから、焦っちゃうんだよね。
(台湾からのお友達と自宅で交流)
そもそも、海外や地方に友達を作りたくて民泊を始めたのだから、他の人がどうだとかじゃなく、私が息子にどうあってほしいかと、私自身に聞きなおすことが大事。そう思った、素敵な再会でした。また、お会いできますように、そして、一日も早く、そのママたちの暮らす被災地が、日常を取り戻せますように。
大事なのは、家庭という軸足と「知識の強み」
では、私はこの先、どんな教育を選ぶか。結論としては、子どもの安全と健康が確保されるなら、どこでも。言い換えると、園庭が広いとかひらがなを教えてくれるとかのサービスは、子どもの将来にとっては微々たる違いでしかない。集団活動で学ぶことは、ルールや社会生活であって、知識や素養にはそんなに差はない……そう、思うんです。
それよりも、「家庭で何を教えるか」。
やっぱりこれに尽きるのだと。
いま、我が家は「動物」「魚」「昆虫」を観察したり、それらの図鑑を眺めて過ごしています。
そもそもは息子が昆虫や動物が好きで、ひとつひとつの名前を覚えようとしていたことがきっかけです。
そうしたことができるのも、「家族」という自分勝手に動ける最小の集団だから。息子の「虫が好き」「魚が好き」という向学心の芽を素早く見つけて環境を作る。適した場所に連れていく。必要な情報を与える。
この連鎖があってこそ、知識になると思います。
一方、保育園の中の限られた時間や情報では、「ガンガゼ」というウニや「ミドリフグ」について話すことはほとんどないと思います。息子一人のために時間を取ることはできない。だからこそ、みんなが知っている「ウニ」とか「魚」という言葉でストップしてしまう。
けれど、虫や動物に詳しい息子、電車に詳しいXくん、スポーツに詳しいY君がいたら、息子の見える世界はより豊かになる。そして、詳しい話をしたければ、水族館や動物園の飼育員の方に話を聞く。
繰り返しになりますが、息子の将来は、この先長く、そして広いんです。
だからこそ、一箇所に全てを期待してはいけない。保育園や幼稚園から一歩外に向かえば、飼育員の方や公園の管理者の方からも知識は得られる。もしかすると地方や海外に住んでいる「虫博士」と友達になれる可能性もある。親が知識を持てばなおのこと、息子に情報を与え続けられる。
そうして、各家庭が子どもの強みを引き出して知識を豊かにしたら、集団生活は、よりカラフルで楽しい時間になるはずです。
言い換えると、いまある環境からのみ情報を得ようとすると、親が考えずに「化石化」してしまいます。いざ、受験だ、強みだと気付いた頃には、もう目の前のことからしか選べず、判断できない大人になってしまう。
だからこそ、親は、見えている範囲のことを教えてくれる環境を与えるのではなく、見えていない部分に楽しい世界があるってことを子供に伝えなくてはなぁ。そう思ったこの頃です。
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廣升敦子(アコ)のプロフィール
日本語教師、上級心理カウンセラー
宮城県出身、東京都在住。千葉大学で小中学校(英語)免許を取得後、教育専門紙の編集記者に。その後、フリーランスのリサーチャーとして、N=1のインタビューを続ける。我が子の成長や親の葛藤を綴ったブログ「コレ芝」でのエピソードは、中京テレビや日経MJ、朝日小学生新聞などで紹介。息子が2歳の時に始めた語句の詰め込み教育を通し、4ヶ月で800語の四字熟語を覚える。これに味をしめて、現在は日本語教師として外国人や児童に日本語を教えている。
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