乳幼児は「エピソード記憶」をじゃぶじゃぶ貯金しよう

痛い記憶は忘れないのです！

「フザケンナヨー！！」
「バッシーン！」

（※以下、少し誇張が含まれていますが、実際はそんなに痛々しいことはしないので、どうぞご安心ください^^）

夫をビンタしたのは、結婚当初、６年前のこと。

夫は、左の頬をナデナデ。

「問題は、そこじゃないんだ。一家を養わなきゃいけないんだ。これから節税して、ウンヌンカンヌン」

ケンカの理由は、今となっては覚えていないくらいどうでもいいことだったと思います。

ただ、次のセリフは、二人とも強烈に覚えています。

「そんなの、美辞麗句（びじれいく）よ！！」

うわべの言葉を繕ってる夫に腹を立てた私が、言い放った。

その瞬間、夫が真顔に。

あっちゃん、よく知ってるねぇぇ……。

ケンカの理由がどうだったとか、どう解決したとかは、すっかり忘れてしまいました。

けど、その後、「美辞麗句ってどんな意味だったっけ」とか「まさに使い方としてぴったりだ」とか、そんな話を二人でしながら自然と仲直りしたのだと思います。

それくらい、痴話喧嘩というのは、すっかり忘れてしまうほど、取るに足らないこと。

けれど。

「美辞麗句」
この言葉は、きっと私も夫も二度と忘れることはないでしょう。
辞書で知った言葉でなく、ビンタとともに刷り込んだ言葉だからです。

エピソードを長期記憶に変換させよう

ーーこうして、エピソードと合わせて覚えることを「エピソード記憶」というのだそう。

振り返ると、息子に四字熟語を刷り込んできたのも、まさにエピソード記憶にアプローチしていたと言えるでしょう。ミニカーや音楽に便乗して、何度も繰り返してきました。

さて、四字熟語を詰め込んでから半年が経過したいまは……。
半分以上の言葉は、すっかり記憶の彼方へ。

「こうちゃん、曖昧〜？」
（曖昧に続く、「模糊（もこ）」を答えてもらいたい）
「……シーン」

覚えている四字熟語と忘れた四字熟語を比較すると、当然のことながら、なんども刷り直した言葉はすぐに引き出せる。けれど、一度や二度しか口にしていない言葉は、覚え直すに近い。

で、特に覚えている言葉は、強いエピソードを持っている言葉。
「あー、危なかった。危機一髪だね」

転びそうになったり、車が近づいた場面で、「危機一髪」「危機一髪」と言っていれば、もう、「危ない」というタグが付いた状態で、「危機一髪」が記憶に貯蔵されています。

エピソード記憶を意味的記憶に

この段階は、息子が、音としての「キキイッパツ」から、意味としての「危機一髪」に一段階記憶を定着させたと考えられます。

半永久的に引き出せる〈長期記憶〉というのは、いくつか段階があって……。

エピソード記憶：思い出のような記憶

意味的記憶：言葉の意味や知識としての記憶

手続き的記憶：ハウツーとしての記憶

に分けられます。

このうち、音声やビジュアルで刷り込んでいたのは、まさにエピソード記憶。忘れてしまったものは、短期記憶を繰り返し、再び長期的記憶に貯めていきます。

で、息子はいま、「言葉」に意味があるというのがわかってきました。

なので、すでに引き出せる言葉は、意味的記憶へ。その後は成り立ちや漢字などにシフトしていこうと思っています。

まとめ　乳幼児は言葉貯金の時期

色々覚え方や整理の仕方はありますが、そうはいっても、乳幼児は一気にボキャブラリを貯め込む時期。聞いたことがある、見たことがあれば、あとはタグをつけなおしたり、グループにしたり、自由自在です。この意味づけは、パパやママでもお手伝いできますが、とにかく量を増やすという作業は、本人にしかできません。時間も相当かかります。

だからこそ、子どもがいつまでもふざけて鼻くそほじっていたら、

×「鼻くそほじってぇ」

ではなく、

○「呉下の阿蒙（ごかのあもう）ね」

○「鼻腔を通って、鼻穴から鼻くそが出たね。こうちゃんが鼻くそを出したね」

って感じで語彙を詰め込んじゃえばいいのです。

そんな感じです。

それでは、合縁奇縁を願って、bye booo!

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